“事業活動から排出される廃プラスチックの処分は、企業の社会的責任が問われる重要な課題です。
この廃プラスチックを適切に処理するためには、法律で定められたルールを遵守し、環境へ配慮した方法を選択しなければなりません。
この記事では、廃プラスチックの種類や分別方法、リサイクルをはじめとする具体的な処分方法、そして信頼できる業者を選ぶ際の注意点について詳しく解説します。
適切な知識を身につけ、法令遵守と環境負荷の低減を両立させましょう。”
そもそも廃プラスチックとは?産業廃棄物として扱われるケース
“廃プラスチックとは、使用済みになったり、製造工程で不要になったりしたプラスチック製品や合成樹脂くずの総称です。
これらが事業活動に伴って排出された場合、廃棄物処理法に基づき「産業廃棄物」として扱われます。
産業廃棄物に該当するケースでは、排出量に関わらず、法律で定められた方法で適正に処理する義務が排出事業者に課せられます。
あらゆる事業活動から出るものと、特定の業種から排出された場合にのみ産業廃棄物となるものがあるため、自社の排出物がどちらに該当するかを正しく理解しておく必要があります。”
事業活動で排出される廃プラスチックの種類と具体例
“事業活動から出る廃プラスチックには、多種多様なものが含まれます。
具体的には、製品の梱包に使われるフィルムや緩衝材、食品容器やトレー、飲料用のペットボトルなどが挙げられます。
また、製造工程で発生するプラスチックの端材や不良品、輸送に使用するコンテナやパレット、古くなったプラスチック製の事務用品や食器なども該当します。
これらの廃プラスチックは、素材や形状が異なるため、それぞれの特性に合わせた適切な分別と処分方法の選択が求められます。”
なぜ廃プラスチックの適切な処分が必要なのか
“廃プラスチックの処分を適切に行うことは、法令遵守の観点だけでなく、企業の社会的責任を果たす上でも極めて重要です。
不適切な処理は、海洋汚染などの深刻な環境問題を引き起こす一因となるほか、不法投棄とみなされれば厳しい罰則の対象となります。
近年、世界的に環境保護への意識が高まる中で、企業がどのように廃棄物問題に取り組んでいるかは、その信頼性やブランドイメージにも直結するため、適切な管理体制の構築が不可欠です。”
深刻化する海洋汚染をはじめとした環境問題
“不適切に処分された廃プラスチックが引き起こす環境問題の中でも、特に海洋汚染は世界的に深刻化しています。
街から河川へ、そして最終的に海へと流出したプラスチックごみは、海洋生物が誤って食べてしまったり、体に絡みついたりして生態系に多大な悪影響を及ぼしています。
さらに、紫外線や波の影響で細かく砕けたマイクロプラスチックは、魚介類を通じて人間の体内に入る可能性も指摘されており、健康への影響が懸念されるようになりました。
これらの問題は、私たちの身近なところで目に見える形で発生しており、貴重な資源のロスという観点からも早急な対策が求められています。”
不法投棄に対する厳しい罰則
“廃プラスチックを含む産業廃棄物の不法投棄は、廃棄物処理法によって厳しく禁じられており、違反した場合には重い罰則が科せられます。
不法投棄を行った個人には5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科され、法人の場合は3億円以下の罰金が科せられる可能性があります。
排出事業者は、処理を業者に委託した場合でも、最終処分が完了するまでの一連の工程に責任を負う「排出事業者責任」があります。
2022年施行の法改正でも規制が強化されるなど、社会全体で不法投棄をなくす動きが強まっており、法令遵守の徹底が不可欠です。”
廃プラスチックの代表的な3つの処分方法
“事業活動から排出される廃プラスチックの処分には、主に3つの方法が存在します。
一つ目は、資源として再利用する「リサイクル処理」、二つ目は、専門の許可業者に処理を委託する「産業廃棄物としての処分」、そして三つ目が、価値のあるプラスチックを買い取ってもらう「有価物としての売却」です。
どの方法が最適かは、排出される廃プラスチックの種類、量、汚れの度合いなどによって異なります。
それぞれの方法の特徴を理解し、自社の状況に合った最も合理的な選択をすることが重要です。”
方法1:資源として再利用するリサイクル処理
“廃プラスチックを単なるごみとしてではなく、価値ある資源として捉え、再利用する取り組みがリサイクル処理です。
この方法には、大きく分けて「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つの手法があります。
マテリアルリサイクルはプラスチックを原料に戻して再製品化し、ケミカルリサイクルは化学的に分解して新たな化学物質を製造します。
サーマルリサイクルは、焼却時の熱を発電などに利用する手法です。
排出するプラスチックの素材や状態に応じて適切なリサイクル方法を選択することで、環境負荷の低減と資源の有効活用に貢献できます。”
“マテリアルリサイクルは、回収した廃プラスチックを洗浄・粉砕し、溶かしてペレットなどの再生原料を作り、新たなプラスチック製品の材料として利用する手法です。
これは、古紙を再生紙にするプロセスと似ています。
例えば、使用済みペットボトルが繊維になり衣類やカーペットに生まれ変わったり、工場から出るプラスチックの端材がコンテナやパレットに再生されたりします。
この方法は、比較的少ないエネルギーで資源を循環させられる利点がありますが、リサイクルできるのは汚れや異物が少なく、単一素材で構成されたプラスチックに限られるという制約もあります。”
“ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを化学反応によって分子レベルまで分解し、元の原料であるモノマーや基礎化学品に戻して再利用する技術です。
この方法の最大の利点は、異なる種類のプラスチックが混ざっていたり、汚れが付着していたりしてマテリアルリサイクルが困難な場合でも処理が可能な点にあります。
生成された原料は品質が高く、新品と同等のプラスチック製品を製造できるため、資源の高度な循環を実現します。
技術的なハードルやコスト面での課題はありますが、廃プラスチック問題の解決に貢献する重要な技術として注目されています。”
“サーマルリサイクルは、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが技術的・経済的に難しい廃プラスチックを焼却する際に発生する熱エネルギーを回収し、発電や温水供給、蒸気として工場などで利用する方法です。
廃プラスチックは石油由来であるため発熱量が高く、効率的なエネルギー回収が可能です。
また、高温の焼却炉で処理するため、有害物質を分解できるというメリットもあります。
日本の廃プラスチックリサイクル量のうち約6割をこの方法が占めていますが、資源そのものを再利用するわけではないため、他のリサイクル手法が優先されるべきという考え方もあります。”
方法2:産業廃棄物として収集運搬・処分を委託する
“リサイクルや有価物としての売却が難しい廃プラスチックは、法律に基づき産業廃棄物として処分する必要があります。
この場合、排出事業者は自ら処理施設に持ち込むか、都道府県などから「産業廃棄物収集運搬業」や「産業廃棄物処分業」の許可を得た専門業者に処理を委託します。
業者に委託する際は、必ず書面で委託契約を締結し、廃棄物の種類や数量、処分方法などを正確に記載したマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付して、処理の流れを最後まで管理する義務があります。
適正な許可を持つ信頼できる業者を選定することが、法令遵守の基本となります。”
方法3:有価物として専門業者に買い取ってもらう
“排出される廃プラスチックが、種類や純度、状態などの条件を満たす場合、廃棄物ではなく「有価物」として専門の買取業者に売却できる可能性があります。
例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)などの単一素材で、汚れや異物の付着が少なく、一定の量がまとまって発生する場合などが対象となりやすいです。
有価物として売却できれば、処分費用を削減できるだけでなく、売却益を得ることも可能です。
買い取りの可否や価格は、市況や業者の基準によって変動するため、複数の業者に見積もりを依頼して条件を比較検討することが有効です。”
廃プラスチックを処分する前に確認すべき注意点
“廃プラスチックの処分を委託する際には、トラブルを未然に防ぎ、適正な処理を確実に行うために、事前にいくつかの点を確認しておくことが不可欠です。
具体的には、排出するプラスチックが正しく分別されているか、汚れや異物が除去されているかといった排出前の準備が重要になります。
また、委託する業者が適切な許可を持っているか、提示された費用の内訳が明確であるかなど、業者選定におけるチェックも欠かせません。
これらの注意点を怠ると、不法投棄に加担してしまったり、予期せぬ追加費用が発生したりするリスクがあります。”
種類ごとに正しく分別されているか
“廃プラスチックを適切にリサイクル、あるいは処分するためには、材質ごとの正確な分別が大前提となります。
プラスチックにはPET(ポリエチレンテレフタレート)やPE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)など、様々な種類があり、それぞれ融点や特性が異なります。
これらが混ざった状態では、品質の高い再生原料を作ることができず、リサイクルの価値が著しく低下してしまいます。
分別が不徹底な場合、処理業者から引き取りを断られたり、分別作業の追加費用を請求されたりすることもあるため、製品に付いている材質識別マークなどを参考に、排出段階でしっかりと分別する体制を整えるべきです。”
汚れや異物が付着していないか
“廃プラスチックに付着した食品の残りかすや油、泥といった汚れ、あるいは金属や紙ラベルなどの異物は、リサイクルの品質を大きく左右する要因です。
特に、プラスチックを溶かして再利用するマテリアルリサイクルでは、異物が混入すると再生品の強度や色合いに悪影響を及ぼし、製品として使用できなくなる恐れがあります。
また、汚れは保管中に悪臭や害虫を発生させる原因にもなります。
リサイクルをスムーズに進め、処理コストを抑えるためにも、排出前に可能な範囲で洗浄し、シールや金属部品などの異物を取り除いておくことが推奨されます。”
許可を持つ信頼できる業者を選んでいるか
“廃プラスチックの処理を外部に委託する際には、委託先が産業廃棄物処理業の許可を正式に取得しているかどうかの確認が最も重要です。
具体的には、廃棄物を運搬するための「産業廃棄物収集運搬業許可」と、処分やリサイクルを行うための「産業廃棄物処分業許可」が必要となります。
無許可の業者に委託してしまうと、不法投棄などの不正行為に加担したとみなされ、排出事業者自身も厳しい罰則の対象になります。
処分費用の安さだけで安易に選ばず、許可証の提示を求め、業者の実績や処理体制なども含めて総合的に判断し、信頼できるパートナーを選ぶ必要があります。”
処分費用の内訳は明確になっているか
“処理業者から見積もりを取得した際は、提示された費用の内訳を必ず詳細に確認しましょう。
産業廃棄物の処分費用は、主に「収集運搬料金」と「中間処理・最終処分料金」から構成されていますが、業者によってはコンテナのレンタル料や事務手数料などが別途加算される場合があります。
総額だけを見て契約すると、後から想定外の追加費用を請求されるトラブルに発展しかねません。
見積もりに「一式」としか記載されていない場合は、具体的な作業項目ごとの単価や算出根拠を明確にするよう求め、納得のいく説明が得られる業者を選ぶことが賢明です。”
まとめ
“廃プラスチックの処分は、環境問題や法令遵守の観点から、事業者にとって重要な経営課題です。
処分方法にはリサイクル、産業廃棄物としての委託処理、有価物としての売却といった複数の選択肢があり、排出するプラスチックの特性や状態に応じて最適な手段を選ぶ必要があります。
特に処理を業者に委託する際は、許可の有無や実績、費用の透明性を慎重に見極めなければなりません。
排出事業者は、委託先に任せきりにするのではなく、最終処分が完了するまでの一連のプロセスに責任を持つという意識が不可欠です。
本記事で解説した内容を参考に、自社の状況に合わせた適正な処分体制を構築してください。”