医療廃棄物ってなに?
目次
病院から出るゴミは特殊?
やあ、ポリたん!
今日は医療廃棄物についてお話しするよ。
医療、つまり病院や診療所、介護施設などの医療関係の施設から出るごみのことなんだ。
病院から出るゴミってどんなものだと思う?
病院から出るゴミかあ…
包帯やガーゼ、注射器とか?
そうそう。
他にも患者さんの治療や検査、手術などで使う器具や薬がたくさんあるよ。
そういった医療廃棄物には大きく二種類に分かれるんだ。
1つ目は「感染性廃棄物」と呼ばれるもので医療系廃棄物の中でも病原体やウイルスなどの感染症のリスクを持つゴミのことを指すよ。
2つ目は「非感染性廃棄物」といって感染の恐れがないゴミ、「感染性廃棄物」以外のゴミのことを指すんだ。
じゃあ医療機関から出るゴミについて詳しく解説していくね。
医療廃棄物について
医療廃棄物とは、医療関係機関から排出された廃棄物の通称です。
また、在宅医療によって家庭から発生した廃棄物も医療廃棄物に含まれます。
医療廃棄物の分類
医療廃棄物は「産業廃棄物と一般廃棄物」の分類と「感染性廃棄物と非感染性廃棄物」の区分に分かれます。
感染性廃棄物とは、以下の通りに定義づけられています。
医療機関から生じる廃棄物のうち、人が感染した、もしくは感染する恐れがある病原体が含まれ、もしくは付着している廃棄物、またこれらのおそれのある廃棄物
参照:環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」(2024/8/27)
医療廃棄物は以下の図の通りに分類されます。
感染性廃棄物の区分方法
感染性廃棄物であるかどうかは、「形状」・「排出場所」・「感染症の種類」の3つの観点によって判断されます。
また、注射針やメスなどの鋭利なものは、状態を問わず感染性廃棄物に該当します。
詳細な感染性廃棄物の判断は環境省によって以下の通りに定められています。
(注) 次の廃棄物も感染性廃棄物と同等の取扱いとする。
参照:環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」(2024/8/27)
・外見上血液と見分けがつかない輸血用血液製剤等
・血液等が付着していない鋭利なもの(破損したガラスくず等を含む)
(注1) ホルマリン漬臓器等を含む
(注2) 病原微生物に関連した試験、検査等に使用した培地、実験動物の死体、試験管、シャーレ等
(注3) 医療器材としての注射針、メス、破損したアンプル、バイヤル等
(注4) 感染症法により入院措置が講ぜられる一類、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症及び新感染症の病床
(注5) 医療器材(注射針、メス、ガラスくず等)、ディスポ―ザブルの医療器材(ピンセット、注射器、カテーテル類、透析等回路、輸液点滴セット、手袋、血液パック、リネン類等)、衛生材料(ガーゼ、脱脂綿等)、紙おむつ、標本(検体標本)等
なお、インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)伝染症紅斑、レジオネラ症等の患者の紙おむつ(参考Ⅰ参照)は、血液等が付着していなければ感染性廃棄物ではない。
(注6) 感染性・非感染性のいずれかは、通常はこのフローで判断が可能であるが、このフローで判断できないものについては、医師等(医師、歯科医師及び獣医師)により、感染のおそれがあると判断される場合は感染性廃棄物とする。
医療廃棄物の処理方法
それでは、医療廃棄物を分類したところでそれぞれどのように処理が行われるのかを解説します。
家庭から排出される医療廃棄物の処理方法
家庭から排出される在宅医療の医療廃棄物は一般廃棄物に該当します。
自治体のルールに則って運搬・処分されるため、分別方法などは各自治体に問い合わせるか自治体のホームページで確認した上で適切に処理することが必要です。
医療機関等から排出される医療廃棄物の処理方法
医療機関から排出される医療廃棄物の中でも、「感染性廃棄物」の取扱いには注意を払う必要があります。
感染性廃棄物は特別管理廃棄物に該当し、保管・収集・運搬を行う際は、密閉容器に収納することが義務付けられています。
感染廃棄物は液状又は泥状のもの・固形状のもの・鋭利なもの又は分別排出が困難なものの3種類に分類され、感染性廃棄物を表す全国共通のマークであるバイオハザードマークで明確に表示することが推奨されています。
感染性廃棄物の保管はできる限り短期間としましょう。
また、保管場所は感染性と他の廃棄物を区別した上で、誰もが見える位置に注意事項等を明記することを推奨されています。
特別管理一般廃棄物は、自治体によって特別管理産業廃棄物と同じ取扱いになる場合がありますので、あらかじめ行政に問い合わせましょう。
医療廃棄物の収集・運搬・処分を業者に委託する
医療機関から廃棄される医療廃棄物の収集・運搬・処分を業者に委託することも可能です。
その場合は、収集運搬の業者及び処分の業者と委託契約を締結する必要があります。
また、収集運搬の際は、マニフェストと呼ばれる管理表で収集運搬から最終処分までの廃棄物の流れを把握することができます。
参考:新関西テクニカ「産業廃棄物処理とマニフェスト」
業者を選ぶ際は正しい許可証を取得した業者であるかどうかを必ず確認しましょう。
廃棄物の種類における許可区分は以下の通りです。
感染性廃棄物 … 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可証
特別管理産業廃棄物処分業許可証
非感染性廃棄物
・産業廃棄物 … 産業廃棄物収集運搬業許可証
産業廃棄物処分業許可証
・一般廃棄物 … 一般廃棄物収集運搬業許可証
また許可証のチェックのポイントは、次のとおりです。
・事業エリアが正しいかどうか
・委託する廃棄物が取扱いできる廃棄物の品目に該当しているかどうか
・許可の期限
・優良認定を受けているかどうか
業者を選ぶ際には不正な業者に気を付けましょう。
まとめ
どうかな、医療廃棄物のことについて分かってくれたかな?
ありがとう、博士!
医療廃棄物はいろんな種類があるから正しく分別して…
感染性廃棄物はこわーい廃棄物だからきちんと管理して、
ちゃんと処分しなくちゃいけないってことだよね。
そうそう。
区別するポイントは、
・医療機関からか家庭からか
・感染性廃棄物か非感染性廃棄物か
・(特別)産業廃棄物か(特別)一般廃棄物か
だよ。
医療廃棄物は、健康と環境に影響を及ぼすことがあるから、注意して適切に処理しようね!