アスベスト(石綿)は2006年に原則として製造・使用が禁止されましたが、それ以前に建築された建物には今も多く残存しています。解体・改修時には厳格な事前調査と法令遵守が求められ、違反した場合は罰則や工事停止命令の対象となります。
本記事では、実務担当者が押さえるべき法体系、レベル区分、処理手順、費用、補助制度まで体系的に整理します。
アスベストを含む廃棄物の処分先でお困りではありませんか?
新関西テクニカは、廃石綿等(特別管理産業廃棄物)の収集運搬の許可を京都府・滋賀県・奈良県・三重県で持っています。廃棄物の種類と量をお知らせください。
アスベストと石綿の違い
アスベストと石綿は同じものです。石綿(いしわた・せきめん)は天然の繊維状の鉱物で、「アスベスト」はその英語名にあたります。法令では「石綿」という言葉が使われています。
石綿は、吸い込むと長い年月を経て肺がんや中皮腫などの病気を引き起こすおそれがあるため、建物の解体・改修や廃棄物の処理では、飛び散らないように扱うことが求められます。
(出典:厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」)
アスベスト処理を規定する主要法令体系
アスベスト処理は単一の法律ではなく、複数法令の横断管理によって成り立っています。
① 飛散防止・届出関係
- 大気汚染防止法
- 解体等工事前の事前調査、届出、作業基準、掲示義務などを規定。
② 作業員の安全確保
保護具の使用、作業方法、特別教育、作業主任者の選任、健康診断などを義務付け。
③ 廃棄物管理
除去後の石綿含有廃棄物は「特別管理産業廃棄物」に該当する場合があり、
マニフェスト管理や許可業者による運搬・処分が必要です。
アスベストのレベル区分と実務への影響
実務上、最も重要なのが飛散性によるレベル区分です。
| 区分 | 主な建材例 | 飛散性 | 届出 |
| レベル1 | 吹付け材 | 非常に高い | 原則必要 |
| レベル2 | 保温材・断熱材 | 高い | 必要 |
| レベル3 | 成形板(スレート等) | 低い | 条件により |
レベル1・2は負圧隔離が原則必須となり、費用も高額になります。
レベル3は湿潤化や手ばらし解体などの基準が適用されます。
費用相場に大きな差が生じるのは、この区分によるものです。
廃石綿等と石綿含有産業廃棄物の違い
アスベストを含む廃棄物は、飛散のしやすさによって「廃石綿等」と「石綿含有産業廃棄物」に分かれ、扱いが大きく異なります。
| 項目 | 廃石綿等 | 石綿含有産業廃棄物 |
|---|
| 主なもの | 吹付け石綿、石綿を含む保温材・断熱材・耐火被覆材など、除去作業で出る飛散しやすいもの | 石綿をその重量の0.1%を超えて含むスレート板・ビニル床タイルなどの成形板(廃石綿等を除く) |
| 廃棄物の区分 | 特別管理産業廃棄物 | 産業廃棄物 |
| 保管 | 湿らせるなどの措置をしてからこん包。ほかの物と混ざらないよう仕切り、掲示板を設置 | 覆いをかける・こん包するなどで飛散を防ぐ。ほかの物と混ざらないよう仕切り、掲示板を設置 |
| 収集運搬 | 特別管理産業廃棄物の収集運搬の許可を持つ業者に委託 | 産業廃棄物の収集運搬の許可(石綿含有産業廃棄物を含む)を持つ業者に委託 |
| 取り扱いの注意 | 破砕・切断しない。ほかの廃棄物と分けて扱う | 破砕・切断しない。ほかの廃棄物と分けて扱う |
| 処分 | 溶融・無害化処理、または固型化・薬剤による安定化をして二重にこん包したうえで埋立 | 溶融・無害化処理、または埋立(溶融・無害化処理が望ましいとされる) |
(出典:環境省「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)」)
廃石綿等の無害化処理や処分の流れは、廃石綿の処分方法とは?無害化処理の種類や流れを解説で詳しく解説しています。
2022年以降の規制強化ポイント
2022年4月1日以降に着工する工事では、一定規模以上の工事について、石綿の事前調査の結果を労働基準監督署と都道府県などに報告することが義務付けられました。報告は、原則として「石綿事前調査結果報告システム」から電子で行います。報告の対象は次のとおりです。
- 建築物の解体工事(解体する部分の床面積の合計が80㎡以上)
- 建築物の改修工事(請負代金の合計額が100万円以上・税込)
- 工作物の解体・改修工事(請負代金の合計額が100万円以上・税込)
- 鋼製の船舶(総トン数20トン以上)の解体・改修工事
(出典:厚生労働省「石綿事前調査結果報告システム よくある質問」)
さらに、建築物の事前調査は2023年10月から、一部の工作物の事前調査は2026年1月から、必要な講習を修了した人が行わなければなりません。
(出典:厚生労働省「元請業者の皆さまへ」)
調査資格の代表例:
- 一般建築物石綿含有建材調査者
- 特定建築物石綿含有建材調査者
このほか、一戸建て住宅などに限って調査できる「一戸建て等石綿含有建材調査者」や、工作物を調査する「工作物石綿事前調査者」があります。
無資格調査は違法となるため、発注者側も確認責任を負います。
実務上の処理フロー
① 設計図書確認
② 有資格者による事前調査・分析
③ 行政への届出(必要な場合)
④ 作業計画書作成
⑤ 養生・負圧隔離
⑥ 除去・封じ込め・囲い込み
⑦ 廃棄物梱包・マニフェスト管理
⑧ 最終処分
特に注意すべき管理ポイントは次の2点です。
これらは監督指導時に確認されます。
費用の考え方(レベル・量・処分方法で変わる)
アスベストの除去・処分の費用は、主に次の要因で変わります。金額は現場ごとに大きく違うため、事前調査の結果をもとに見積もりを取ってください。
| 要因 | 費用への影響 |
|---|
| レベル(1〜3) | レベル1・2は隔離や負圧の管理が必要になり、費用が高くなりやすい |
| 面積・廃棄物の量 | 面積が小さくても、養生や機材の費用が一定額かかる |
| 廃棄物の区分 | 廃石綿等(特別管理産業廃棄物)は、収集運搬・処分とも特別管理の許可業者が必要 |
| 処分方法 | 埋立・溶融・無害化処理など、処分方法と処分場までの距離で変わる |
| 建物の条件 | 高所・狭い場所・稼働中の施設など、作業のしやすさで変わる |
※現場条件・面積・養生範囲で変動
事前調査の費用も、建物の規模や分析の有無によって変わります。
小規模工事でも最低限の養生費が発生するため、㎡単価だけでは判断できません。
補助金制度の活用
自治体によっては、
を設けています。
ただし多くは「着工前申請」が条件です。
工事契約前に確認することが重要です。
発注者責任とリスク管理
近年は元請・発注者責任が強化されています。
違反リスク:
罰則だけでなく、企業イメージ毀損リスクも大きいため、
価格よりも法令遵守体制を重視する必要があります。
新関西テクニカでのアスベスト廃棄物の取り扱い
新関西テクニカは、廃石綿等(特別管理産業廃棄物)の収集運搬の許可を、京都府・滋賀県・奈良県・三重県で持っています。石綿含有産業廃棄物を含め、府県ごとの許可の範囲は許認可一覧をご覧ください。それ以外の地域の運搬や処分は、許可を持つ提携業者へのお取次ぎで承っています。解体・改修工事で出るほかの建設廃棄物とあわせてご相談ください。
アスベストを含む廃棄物の処分は、新関西テクニカにご相談ください
- 廃石綿等の収集運搬は、京都府・滋賀県・奈良県・三重県で自社対応(処分は提携業者へお取次ぎ)
- 解体・改修で出るほかの建設廃棄物もまとめてご相談いただけます
- 近畿一円(和歌山県を除く)で対応する優良認定の処理業者です
- ご相談・お見積りは無料です
お電話:0774-43-2380(受付 9:00〜17:00/月〜土)
建設廃棄物の収集運搬について →
まとめ
アスベスト処理は、
- 飛散防止(大気法)
- 労働者保護(安衛法)
- 廃棄物管理(廃掃法)
という三層構造で管理されています。
特に近年は規制が強化されており、発注者側にも確認責任が求められます。
レベル区分・届出要件・マニフェスト管理を理解することが、実務担当者にとって不可欠です。
法令遵守と記録管理を徹底することが、最終的なリスク回避とコスト最適化につながります。